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賃貸物件の床や壁についた傷は誰が負担するのでしょうか？物件の大家さんでしょうか？それとも入居者でしょうか？

実は修繕費は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によって規定されているのです。

ガイドラインによると、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」とされています。

つまり、入居した人が故意や不注意などでつけた傷や汚れは入居者が修繕費を負担し、通常の生活で消耗、経年劣化してしまった傷や汚れは大家さんが修繕費を負担するということです。ですので賃貸物件の傷や汚れは、この原状回復のガイドラインに沿って誰が修繕費を負担するかが決められます。

一般的に修繕費は敷金で清算されます。修繕費が敷金を上回る場合や敷金がない物件の場合は退去時に追加で支払いが生じることがあります。

では、どんな傷や汚れの時に入居者が修繕費を負担しなければいけないのでしょうか？入居者が修繕費を負担する可能性のあるケースをご説明いたします。

・ペットが壁を引っ掻いて傷をつけてしまった場合
ペットが広範囲で引っ掻いてつけた傷は壁紙全面を張り替えなければいけない場合があります。そのような場合は修繕費は入居者の負担になります。また傷が深い場合は壁紙の下のボードの修繕費も請求される可能性があります。

・ネジや釘でできた穴
画鋲やピンでできるような小さな穴の場合は通常生活の傷とされ、修繕費は入居者の負担にはなりません。しかし、釘やネジなどを使用して壁に穴をあけてしまった場合は下地を張り替えなければいけませんので、入居者が修繕費を支払うことになります。

・飲み物などをこぼしてしまってできたシミやカビ
飲み物などをこぼしたまま放置していてできたシミやカビは通常の生活でできたものとは判断されませんので、クリーニング代は入居者が負担することになります。

・家具などを引きずってできた傷や、ものを落としてついたへこみ
家具を置いていてできたフローリングのへこみは通常の生活でできたものと判断され、入居者が修繕費を負担することはありません。しかし、家具などを移動してできた傷や物などを落としてできたへこみは不注意でできたものと判断され入居者が修繕費を負担することになります。

・喫煙によるヤニ汚れやニオイ
タバコによって壁紙がヤニで汚れてしまったり、においがついてしまった場合、ひどい時は壁紙を張り替えなければいけませんので、入居者が修繕費を負担することになります。

では、床や壁に傷をつけてしまった場合は自分で修繕しても良いのでしょうか？

答えは「NO」です。

修繕費を安く済ませたいとホームセンターなどで材料を揃えて傷を修繕しても、どの程度修繕するかの判断をするのは大家さんや不動産会社です。自分で修繕した場合、逆に傷が目立ってしまい、もっと修繕費を請求されることもありますので、自分で直そうとすることはやめましょう。

まずは引っ越してきた時に傷をつけないように予防策をすることがおすすめです。

【入居した時にしておくといい予防策】
・ラグやカーペットを敷く
・クッションフロアを敷く
・子供が遊ぶスペースにはクッションマットを敷く

やはり床を保護できるようなマットやカーペットなどを敷くことが安心です。

床全体をカーペットなどで保護できれば一番安心ですが、それはなかなか難しいので、テーブルや机などの椅子を使用する場所や、子供やペットが遊ぶスペースなど必要な場所に敷いておくと、防音対策と同時に傷予防にもなります。

テーブルの下にカーペットなどを敷くと食べ物や飲み物をこぼした時に掃除や洗濯が大変というご家庭は、椅子の脚の裏にクッションシールを貼ると良いでしょう。

またクッションシールは家具の脚に貼っておくと、模様替えなどで家具を移動するときに傷がつくのを予防できます。
 

【入居した時に既にあった傷の対処法】
入居直後、傷や汚れがあった場合に、そのままにしておくと、その分の修繕費も請求される可能性があります。ですので、まずは証拠の写真を撮っておきましょう。日付が残せる写真のデータだと、さらに安心です。

写真を撮ったら、すぐに大家さんか管理会社に連絡をして傷などの状況を確認してもらいましょう。もし実際に傷を確認してもらえない場合でも写真を撮って連絡をしておけば、退去時に修繕費を請求されることはないでしょう。